日本眼感染症学会        
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    新型コロナウイルスに対する正しい理解のために
-眼科医療関係の皆様へ-
 新型コロナウイルス感染症が各国へと拡大し、日本では水際対策から蔓延期へと移行し、さらなる拡大の可能性も示唆されています。新型コロナウイルスによる結膜炎や、涙液を介したウイルスの伝播について、科学的データに基づく解析には、まだ時間を要すると思われます。一方で、根拠のない情報も錯綜しており、間違った対応が拡散するリスクが懸念されます。
 
 新型コロナウイルス(通称COVID-19、正式にはSevere Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2、略してSARS-CoV-2)に関する膨大な情報のなか,眼科診療に携わる医師や看護師からも、多くの質問が寄せられています.
それらを要約すれば、眼科診療を通じて
@患者から医療従事者へ、新型コロナウイルスは感染しないのか?
A患者から患者へ、新型コロナウイルスは感染しないのか?
というものです.
 
まずは、
現在までの情報を整理しますと,以下のとおりです。
@結膜が新型コロナウイルスの侵入サイトになる可能性がある.
A新型コロナウイルスは結膜に存在する可能性がある.
B新型コロナウイルスは結膜炎を起こす可能性がある.
C潜伏感染者の結膜に新型コロナウイルスが存在するのか否かは不明である.
D新型コロナウイルスが結膜→結膜で感染するのか否かについては不明である.

 
以上のように、現時点では,頻度などはともかく「結膜を介する感染の可能性は考えられる」という答えとなります.しかし,新型コロナウイルス感染症を必要以上に警戒するあまり、通常の眼科診療に大きな影響が及ばないように配慮することもまた非常に重要です.
以下にQ&Aを上げます。
Q1 新型コロナウイルス感染症において結膜炎はどのくらい合併率しますか?
A1 武漢における結膜炎の頻度は0.8%という論文は出ていますが、すべての感染者に対して眼科的な検査をしたわけではないので、十分なデータではありません。しかし、頻度は少ないながらも新型コロナウイルス感染症に結膜炎を併発する可能性があるのは確かなことです。
Q2 新型コロナウイルスは、通常どのように感染しますか?結膜からも感染しますか?
A2 通常、飛沫感染(咳・くしゃみ・会話中の唾液など約1mで床に落下する5μm以上の飛沫による感染:インフルエンザ、風疹など)と、接触感染(手や皮膚の接触や汚染された物品を介しての感染:アデノウイルス結膜炎、MRSAなど)の2経路とされます。また、エアロゾルを介した感染も指摘されています。エアロゾルとは、気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子で、診療現場では、呼気中に含まれる水蒸気などがこれに該当し、ウイルスが長く空気中に留まります。
 
結膜からの新型コロナウイルスの感染(患者から医師への感染,診療を介しての患者間伝播)は、咳やくしゃみなどの飛沫感染と比べれば,可能性は高くないと考えられます. ただし、新型コロナウイルス感染を発症している可能性がある患者を診察する際には、口、鼻に加えて眼も防護することを推奨します.
Q3 通常の眼科診療においてどうすればいいのですか?
A3 結膜を介して新型コロナウイルスに感染するリスクは低いと考えられます.しかし,感染者数の増加を背景に病院やクリニックに新型コロナウイルス感染者が来院している可能性は十分に考えられます.そこで,すべての来院者に関して,標準プリコーション(手指衛生,接触器具の消毒など)を徹底することはもちろん,しばらくの間は,問診をしっかり行い、発熱やせき・息切れ、だるさ(倦怠感)などの強い症状がある方は、受付にその旨を申し出て貰うようにしましょう。発熱,咳、感冒様症状が軽微な状態で、眼科受診の必要な患者に対しては、アデノウイルス結膜炎患者同様の十分な感染拡大防止策を施してください。
Q4 では、具体的に感染拡大防止策とは、どうすればいいのですか?
A4 感染対策上は標準予防策(standard precaution)の徹底と個人防護具(personal protective equipment: PPE)の使用が重要です。具体的には、マスク、手洗い(石鹸による十分な手洗い、あるいはアルコール消毒)を行うこと、加えて眼科診療機器や環境もアルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒に努めることが大切です。とくに結膜炎を有する患者の診察で手袋を使用する際には診察毎に交換し、手袋表面を介しての感染に留意します。
標準予防策(standard precaution)とは:
全ての患者の湿性生体物質(血液、唾液、鼻汁、喀痰、尿、便、涙液、体液、粘液、損傷した皮膚分泌液など)を感染の対象として対応します。手指衛生はその基本です。湿性生体物質を扱う際は手袋、分泌物が飛散する可能性がある場合にはマスク、ゴーグル、ビニールエプロンを使用するなど、処置行為に対して、それぞれの予防策を行います。咳エチケットも標準予防策の一環です。咳エチケットには、咳やくしゃみがあるときにはマスクなどを用いて鼻や口を覆い、分泌物で汚染されたら手指衛生を行うことが含まれます。
個人防護具(personal protective equipment: PPE)とは:
ガウン、手袋、マスク、キャップ、 エプロン、シューカバー、フェイスシールド、ゴーグルなどがあります。場面に応じて、着用します。患者毎の交換、着脱方法にも気を付けます。
医療関連感染を防ぐ手指衛生5つの瞬間((WHOガイドラインを改変)
 
Q5 新型コロナウイルス感染症が指定感染症になった意味は?
A5 新型コロナウイルスは「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 法第6条第8項指定感染症」になりました。指定感染症になると、入院を強制することが出来、公費の援助がでます。また届け出が必須となり、発生動向調査や接触者の把握が容易になります。
 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/ke...
 
以下のサイトも参考にしてください。
 
●日本眼科学会・日本眼科医会からのお知らせ(国民向け)(2020年2月27日)
 詳細はこちら(PDF)
●日本医師会からのメッセージ(国民向け、医師・医療関係者向け)
 https://www.med.or.jp/
●厚生労働省Q and A
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bu...
●国立感染症研究所HP
 https://www.niid.go.jp/niid/ja/procure...
日本眼感染症学会 理事長 外園千恵
日本眼科学会 理事長 寺ア浩子


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