アクネ菌 ~遅発性眼内炎 2021年12月公開
プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)は皮膚に常在する嫌気性のグラム陽性桿菌で、属名はプロピオン酸産生から、種名はニキビ(acne)による。CNSやコリネバクテリムと並ぶ外眼部の主要常在菌で、1986年のMeislerの報告以降、白内障術後遅発性眼内炎の主要起炎菌として広く知られることとなった。術中に侵入したアクネ菌が比較的嫌気状態の眼内レンズ(IOL)-後囊間に残留すると、時間をかけて増殖し、慢性の虹彩毛様体炎を起こす。IOL-後囊間のスペースが眼内炎発症の温床になり得ることが示唆された点が特筆される。他方、フリクテン性角膜炎の原因菌としても有力視されており、眼内外を通じて本菌による感染病態には興味深いものがある。(秦野寛)
日本眼感染症学会
Japanese Association for Ocular Infection
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