連絡先
menu

Chlamydia trachomatis ~トラコーマ 2020年7月公開

クラミジアは細菌に分類される偏性細胞内寄生体である。トラコーマの病原体であるChlamydia trachomatisは、1907年、Prowazekらにより上皮細胞の細胞質内に「封入体」の形で発見され、1957年に Ta’ngらが分離培養に成功した。歴史的には、日清戦争時に兵士が持ち帰ったとされ、1910年代には罹患率が20%を超えたともいう。写真は急性期トラコーマの典型的所見で結膜充血と多数の濾胞形成が認められる。衛生環境の改善、抗生物質の登場もあって1955年頃を境に激減し、もはや我が国でみることはないが、開発途上国では今も猛威を振るっている。テトラサイクリン系、マクロライド系が奏功するが治癒には長期投与が必要であり、炎症の遷延化に伴って眼表面に広汎な瘢痕形成を来し、睫毛乱生、内反症、角膜パンヌス、鼻涙管閉塞などを生じる。(大橋裕一)


青木功喜先生ご提供
宮永嘉隆先生ご提供
(故三井幸彦先生から譲受)

日本眼感染症学会

Japanese Association for Ocular Infection

各種お問い合わせはこちら 072-623-7878 | jaoi@triton.ocn.ne.jp