淋菌 ~膿漏眼 2020年8月公開
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)は、1879年、Neisserにより発見されたグラム陰性の双球菌で、泌尿生殖器の上皮細胞内で増殖して尿道炎や子宮頸管炎を生じ、眼に運ばれて結膜炎を起こす。多量の膿性眼脂を来す膿漏眼の代表で、成人と新生児に多くみられるが、一般に成人の方が重症である。角膜にも感染し、早ければ数日で角膜穿孔を起こす。戦前は風眼とも呼ばれるほど頻度が高く、新生児に対しては膿漏眼の予防に1%硝酸銀点眼(Crede法)が行われていたが、抗菌薬が開発された1930年代以降は治療も容易となり患者数は激減した。しかし、1990年代から薬剤耐性化が進み、最近ではフルオロキノロンには80%以上、セフェム系抗菌薬にも半数近くが耐性を示す。第一選択薬として推奨されているセフトリアキソンに対する耐性株も出現しているため、抗菌薬の選択には十分な注意が必要である。(中川尚)
提供 中川尚
日本眼感染症学会
Japanese Association for Ocular Infection
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