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エンテロウイルス(エンテロウイルス70 コクサッキーウイルスA24変異株) ~ AHC(急性出血性結膜炎) 2021年3月公開

1969年、球結膜下出血を特徴とする原因不明の急性伝染性結膜炎がガーナで発生し、この年にアポロ11号が月面着陸していたことから、「アポロ病」=“アポロが月から持ち帰った未知なる微生物による結膜炎” として恐れられた。杉浦清治により急性出血性結膜炎(acutehemorrhagicconjunctivitis:AHC)と名付けられたこの結膜炎は瞬く間に北半球に広がり、1971年には日本に上陸した。1972年、甲野礼作、内田幸男などからなる我が国の研究グループが新種のエンテロウイルス(enterovirus70:EV70)を病原体として同定した。一方、1970年にシンガポールで類似の結膜炎が流行し、原因ウイルスはcoxsackievirusA24 variant(CA24v)と同定された。CA24vは長らく東南アジア近辺にとどまり、本邦へは1985年に初めて沖縄に上陸した。感染症サーベイランス報告によれば、沖縄において数年のインターバルで大規模なAHCの流行がみられる。1985年以降、EV70は分離に成功していない。(中川尚)

提供 中川 尚

日本眼感染症学会

Japanese Association for Ocular Infection

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