~実質型角膜ヘルペス 2021年6月公開
実質内の単純ヘルペスウイルス抗原に対する免疫・炎症反応であり、臨床像の特徴から円板状角膜炎、壊死性角膜炎に分類される。IDU点眼の時代には炎症が遷延化し、角膜穿孔や高度の脂肪変性を生じる症例が数多くみられるなど、中途失明原因の上位を占めていた。1985年以降は実質内移行に優れたアシクロビル眼軟膏が抗ウイルス薬として用いられるようになり、ステロイド点眼薬を重症度に応じて投与できるようになった。結果として、角膜ヘルペスは薬物治療で制御可能な疾患へと変貌した。実質炎の治療におけるステロイド点眼の有効性については、1994年のHEDS( HerpeticEyeDiseaseStudy)においても実証されている。今後は、実質型角膜ヘルペスの免疫反応に直接関与できる分子標的薬の開発が待たれる。(高村悦子)
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